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2024年11月1日

2024年11月

2024年11月

桃はもうヒトの心臓なのですよ

暮れていい頃だホテルは白い城

止まらないブランコ終末の影絵


藤田めぐみ

 

仏頂面の君に 鯉魚風そよ

意固地めは炭酸バブにほぼほぼ溶かす

汽水湖の一滴溜める涙壺

 

四ツ屋いずみ

 

防壁を叩く小さな自己主張

ファイヤーウォール越えてゴキブリやってくる

生きている免疫力を壁として


伊藤良彦

 

影踏みの影追って出る非常口

楕円形抱かれたがりの月になる

ベタ凪の空に全休符が続く


菊池京

 

家政婦は歳暮の数を競い合う

エコー写真に病院の反社条項

ババ抜きのババをじいじはすぐ隠す


河野潤々

 

虫籠へ動詞を放つ秋の夕

句点からゆわふわ次の句点まで

coffeeのみずおと珈琲のうすぼ


斉尾くにこ

 

白磁器の手ざわり秋の出入り口

黒猫の哲学を知るたたずまい

大好きをみつくろっては水っぽい


笹田かなえ

 

バーチャルなからだがほしいビデオ4

白鳩をバラバラにした仔猫たち

ひび割れてまだ息のあるアコーディオン


鈴木雀

 

京都から迷彩柄の封書が届く

充電が終わる明日は日曜日

三日月ペロリお腹が空いて死にそうだ


須藤しんのすけ

 

ウエハース持ってしずかに朽ちてゆく

うららかにうなずくあなたが目を見る

ケーキの苺をあげるねずっとあげる


温水ふみ

 

シナリオは妻の手にある終の橋

野の花を手折る天寿へ続く道

割れ物危険と背中に貼っておく


間瀬田紋章

 

人形が死んでんでいくとき 十二才

ありふれたコーロギの声 土まみれ

おーいって呼ぶ声が怖わ 老いって


旅男
川柳アンジェリカロゴ
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