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2025年11月1日

2025年11月

2025年11月

封印に使う紅葉を選び抜く

ふくらんだ風船だけが知る微熱

星空を注がれてから夢見がち


飛和


散骨のように改札のさよなら

割り算の余りのかたちモンブラン

雨も霧もあなたの曲になりました


藤田めぐみ


ワークライフバランスふらついている入射角

ハンカチを落として恋は古典的

明日まで連れて行きたくない奇数


峯島妙


パスワード多くて夢を語れない

締め切りをぶら下げているイヤリング

ピクルスの瓶には神が宿ります


伊藤良彦


肩越しの虹が虹色だった頃

待つことに慣れて回送バスの列

影法師の君に探している言葉


菊池京


文字数の多い外交官夫人

ルカが来る昼二時間の死ぬ稽古

白妙のラップダンベル明太子


河野潤々


走る個室で綿雲のハンバーガ

つかみどころへウサギの餅のつきたてを

何もない何気ない日の雑貨店


斉尾くにこ


六方を踏んで無駄足踏んで 秋

時にネコ ハンニャハラミッタとも鳴く

とても小さな手がかりだけど豆を煮る


笹田かなえ


シール帳自分ひとりの庭とする

迷い呼を帰す理由もわからない

通り魔のように仇を抱きしめる


鈴木雀


自由ってことを忘れる左の手

シングルの軋み具合と濡れ具合

お隣の中也の愚痴を聞かされる


須藤しんのすけ


熊です 産児制限てどうやるの?

態度が欲しいのよ求愛救餌

炊飯器にもゴメンネなんて秋ちろろ


旅男


前世は雨だからたまに溶けちゃうの

閉じ込めるなら君のまぶたの中にして

約束が姿勢良く待つから帰るわ


西山奈津実


ゆりかごを見て居ることをたしかめる

飛べるかたちの生きもののビスケット

エスケープ、たのしいゆめ、あたしたちの


温水ふみ

川柳アンジェリカロゴ
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