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2025年10月1日

2025年10月

2025年10月

ことだまのようなてざわりの三毛猫

写生されていま海がすこし苦い

やわらかいぶどうを運ぶための靴


温水ふみ


朝焼けの街に金箔貼り直す

流星群を迎えるための数え歌

白銀の葡萄の房に手を伸ばす


飛和


縋る手は無色 好きでもなかったな

道行の相手は薬莢の香り

挙げ句の果ての建設的な一人鍋


藤田めぐみ


川底の砂地に絡まれる晩夏

マニアックでロマンチックでエロチック

骨太で粗雑な夏の大移動


峯島妙


戦争を日常にする平和論

灼熱と猛暑は何が違うのか

とろろ芋ほどの強さが欲しいけど


伊藤良彦


残り香に逢いたくなって焼く手紙

ジャガイモがないカレーですひとりです

あの風に再会するための助走


菊池京


茄子にそばかすおを忘れ通じない

粼を演出したい多感症

炭酸が抜けてソフホーズが甘い


河野潤々


並走のランナー同化する未来

その日その時塩分調整してる海

ロングパス受けて手の中なまざかな


斉尾くにこ


秋の水すとんと夜の腑に落ちる

大きな家の大きな庇ネコ好きそうな

大泉洋の笑顔でたい焼きで


笹田かなえ


瓶詰めのマーマレードを忘れ置く

ブルーベリー小鍋で愛を煮立たせる

あなたにもロールパンナの自己矛盾


鈴木雀


小春日和一旦休憩入りまーす

リカちゃんと親指似てるユカリちゃん

キャバクラで拾った舌の裏の裏


須藤しんのすけ


あけびの種を吸う人とゴクリカン

チュウチョウロ熊もつけて空籤無し

魂も使いはたして便にして


旅男


スポイトで吸い上げる生まれたての秋

キッパリは複数系には似合わない

北極星満タンにして/ひとり


西山奈津実


川柳アンジェリカロゴ
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