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2025年9月1日
2025年9月

根っこではしっかり抱き合う惑星
準備できたらすぐオハヨウを連れてくる
その濁り一輪車では消せないの
西山奈津実
旅にでるシンボルツリーを辞退して
鎖骨は水と後悔の溜まる部位
天国ですれちがってもわからない
温水ふみ
運命を蹴散らして咲く百日紅
ためらいも綿あめになる夏の夜
曼殊沙華まであやとりを続けたい
飛和
当て書きはしないで肌は引き継いで
モヒートはまだ正解を言ってない
あきらめてジャスミンどうしから引退
藤田めぐみ
リップ塗る井川遥になれと塗る
バーキンに鯛焼きニ個とラブレター
織姫をなぞってみれば樹木希林
峯島妙
地下鉄の終着駅は海の中
溢れても人も電車も 押し寄せる
乗り換えのドラマを今日も繰り返す
伊藤良彦
頬杖で支え切れない雨予報
シャーペンが折れた迷路の真ん中で
ニュース速報きのう齧った月のこと
菊池京
あの人は牛乳瓶のふた開けるやつ
もづくからもずくに変わるもの気分
鎖骨湖を見張るひきこもりのウメ子
河野潤々
調律を終えて背骨からスキャット
ニンジンの森へトトロの発芽米
鼻先を蒼い海月の通り過ぎ
斉尾くにこ
振り返れば逃げ水の道そのずっと
まんまるネコの目よくできましたの○
すぐばれる嘘のようにもカルメ焼き
笹田かなえ
人偏に衣をつけて愛し合う
似合う服だれともちがう私に
モザイクを集めて潜り込むしらす
鈴木雀
救えない世界の明日を魔王に託す
ペディキュアは緑メロスの左足
美食家と眠る徳川埋蔵金
須藤しんのすけ
パクチーな宵 パセリーに夜が明ける
闇にこそ咲く花火あれよ束の間
痒い痒い治りかけのここ鎮魂
旅男
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