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2025年6月1日
2025年6月

ポケットはあればあるほどいい銀河
わたしですホーム画面は異星です
宇宙語でどうぞ共通祖語だから
鈴木雀
春だからって理由で二次会へ急ぐ
言い訳の推敲をする二十九時
さびしい夜にも洗濯機と話す
須藤しんのすけ
Potti.Bottiお一人様の待ち合わせごっこ
背に忍ぶ老獪阿修羅ぱだんぱだん
先ずメモを探します霧の家
旅男
はっしはっしと今は鯨になる途中
根拠って秋の芯にはなかったわ
新緑に染まれるほどの憂鬱
西山奈津実
かさぶたになってはつゆめに蓋をする
いちばんに届く手紙としてうたう
光るまでみがく怪我のない生涯を
温水ふみ
水玉を最初に好きになった人
本物の紫陽花だけが知る合図
ジェラートが混ざって夏の雲になる
飛和
片想いあるいは無人島に放火
つまらない話ピクルス見っぱなし
耳鳴りは起動音青い夕焼け
藤田めぐみ
ニンゲンの匂いにむせるシャワー室
上書きのその上書きに縛られる
学歴は木っ端微塵のシュレッダー
間瀬田紋章
たくらみが零れないようチュッパチャプス
ごまかしたところが痣になっている
嫌なとこ見ないと決めた埴輪の眼
峯島妙
機関車を替えて客車はついてゆく
乗換えの駅のリズムは三拍子
偶然のように電車はすれ違う
伊藤良彦
ジーンズの穴に叱られてる趣意書
雨の日の蜘蛛の巣どこまでも強気
苺飴ガラスのような鎧着て
菊池京
はがれない付箋がほしい戸田恵子
たおやかな蒟蒻畑にいわし溺れる
ゆず湯もぬるむ八角の体脂肪
河野潤々
異世界のゆらぎ酸欠サンセット
緑黄色野菜の混声応援歌
澄み切ったこころに鮎のもどるまで
斉尾くにこ
大阪の町あるくときエレキテル
見覚えのある景色だなネコがいたな
抱くにせよ抱かれるにせよ琵琶ゼリー
笹田かなえ
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