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2025年5月1日
2025年5月

春はあけぼのあなたも二度寝すると言う
E.T.するネコの前脚五本指
空豆の意気揚々と買われゆく
笹田かなえ
醤油皿ひらたく生まれ直す虫
類推をきつく咎める塾講師
日曜日だからね西へゆくからね
鈴木雀
春なのに《降りる》のボタン買いに行く
エスカルゴ専用皿の使い道
ちゃん付で先生を呼んじゃいけません
須藤しんのすけ
心まではほどけて無かったみたい
現実逃避のハナたらす さくらよ
で、此岸は花咲かしヒト酔い盛る
旅男
足が運ぶワタクシという液体
蛇口閉めたら日曜の雨は止むはず
なだらかなふりして待っている明日
西山奈津実
目薬をさす 海だったらどうしよう
ハッピーエンドは風下で嗅ぐのがいい
遠くまでゆける名前を選んだの
温水ふみ
永遠の片恋として青もみじ
水琴窟が共通言語だった頃
影絵なら奇麗なふりも出来たのに
飛和
消えちゃいそう靴から濡らしちゃおうかな
詩人気取りの男に急所外される
アルペジオ春のファスナーから暮色
藤田めぐみ
こころまで濡れモノクロへ爪を切る
ファイナルアンサー百十円の封を切る
マッチ棒の灯りの中の襟足よ
間瀬田紋章
春だもんあたり前田のクラッカー
春なのにパステルカラー戻らない
春の音絡みついてる生パスタ
峯島妙
ここはどこ?境界線はあるけれど
地平線目指して歩く人と人
アボカドと水平線と腕時計
伊藤良彦
B面の傷を飛ばせぬまま夜明け
ツイートの雨薄皮の自己主張
割り算の余りをぎゅっと抱きしめる
菊池京
ポケットに 仏は神に跪く
雨だれに小指立てない手の所在
すごむほど車は深くお辞儀する
河野潤々
夜をふるう声の欠片がふりそそぐ
東雲の工房 水の美術館
風景と情景のなか微雨のなか
斉尾くにこ
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