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紗幕越しの川柳
河野潤々
2025年6月8日
#Scene 23

これプニヨンマあれもですプニヨンマ
森 砂季
「プニヨンマ」
句集のタイトルにもなっている
得体のしれない、でもなぜか惹きつけられる
この言葉は一体なんなのだろう。
まず最初に言葉が生まれた(生み出した)のであって
最初から何かを指し示したり
意味を持ち合わせてはいない、たぶん。
まるで幼子がはじめて言葉を発するときに
語音の響きを楽しむかのように
何度も何度も「プニヨンマ」と声に出してみる。
するとなんだか楽しくなってくる。
もしかするとプニヨンマは
「楽しさや遊び心の象徴」のようなものなのかも。
そしてそれ自体は定まった姿かたちを
有しておらず、作中の「私」が
心底たのしいと思うときに
様々なモノやコトの姿になって
あるいは誰かの何らかの動作になって
現れてくれるのだ。
こころを整えて(いやなことは忘れて)
たのしいことを考えたり思い描いたりする。
そうすると、ほら、あなたにも
「プニヨンマ」が見えてきますよね。
「プニヨンマ」の群作から一部引用
どこにもない国の挨拶プニヨンマ
プニヨンマ万事休すの意味だっけ
プニヨンマ忘れてあれはプニヨンマ
玉ねぎをプニヨンマして煮込みます
プニヨンマ、まさか私のお姉さん
(森砂季 現代川柳句集『プニヨンマ』 2023年11月)
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