#Scene 2

手首以外に婦人画報を持つ力を有しているのは

どんな部位だろう。歯か？

アホか、そうじゃないだろ。

目には○○を見極める力が、口には○○をかみ締める力が、

そして足首には○○を蹴る力が、それぞれ備わっていることに

気づいたのではないか。

何かの事由で心が折れかかり、

そこから立ち直りたいと前を向こうとしたときに、

身体の部位それぞれに、

必要なエネルギーが宿っていることを実感したのではないか、

などと勝手に掲句の背景に思いを巡らせてみる。

婦人画報の、長く持ち続けるのをためらうのに十分な重さを

しっかりと受け止める手首が、ちょっぴり頼もしい。

さて、上記の〇〇に何をあてはめようか。

「婦人画報」とバランスの取れる、粋な具象が見つけられない。

本作は、小原由佳氏の句集『反対側の窓」から引く。

社会生活ですり減った心をいやしてくれるような句集です。

ほかにお気に入りの作品をいくつか。

　コントン混沌十三歳が歩く音

　お借りした傘にあなたの町の雨

　働いたお金と走る自転車で

　ほっといてもらう角度の赤い傘

　ただ一つあの日が晴れであったこと

小原由佳句集『反対側の窓』／青磁社　2022年11月）