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紗幕越しの川柳
河野潤々
2025年1月8日
#Scene 14
神さまを演じて空がやせてくる
たにひらこころ
減塩を心がけ過ぎたのか
はたまた演じて見せる相手が悪かったのか。
「塩対応、ときどき神~」であれば
神さまのありがたみを
感じてもらえるかもですが
長らく神さまを演じ続けていると
いつしかそれがあたりまえと思われ
演じることができなくなったときに
「なに、その態度!」と
逆ギレされたりするのかも。
「ひろーい空のような心でひとと接したい」
そんな澄んだ気持ちを内包しているよう。
でも、くれぐれも自分を責めたりしないこと!
もっと自分本位でいい んです。
だって演じるのは「神さま」なんですもの。
漠然と今年の抱負を考えていたら
掲句が脳裏をかすめた。
「搾取されない」とか「媚びない」とか
考えていた自分がちっちぇぇぇ。
掲句を納めた句集から、お気に入りを少々。
言い足りぬ葱包丁に絡みつく
試供品送られてきたのはわたし
ゴム毬が探し続ける着地点
ことばには弱い消しゴム持ち歩く
近づくと揺れてる冬の観覧車
(たにひらこころ 川柳句集『ふたつ下のそら』
新葉館出版 2005年12月)
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