せんりゅう、ごちそうさま
笹田かなえ
2025年12月1日
川柳すずか 380号

三重県鈴鹿市の「鈴鹿川柳会」は来年で発足40年となるそうです。「鈴鹿川柳会」の会報誌である「川柳すずか」380号を読ませていただきました。
現会長の青砥たかこさんと会長補佐の吉崎柳歩さんとは「展望」の大会で何度かお会いしたことがあります。
青砥たかこさんと大阪の赤松ますみさんと私は、ちょっと顔が似ているらしい(笑)です。そういうご縁もあって、いつお会いしても気さくに話しかけてくださいます。
川柳鈴鹿会にはHPがあります。
そこに紹介されている「川柳鈴鹿会」の沿革を、一部抜粋して掲載させていただきます。
かって鈴鹿市には 、昭和27年に、寺尾新児、吉田不老子、藤田閑生氏等により設立された「麦飯川柳会」がありました。
大阪の「川柳天守閣」などとの交歓句会、鈴鹿市民文化祭川柳大会の開催など、活発に活動されていましたが、曲 折を経て昭和44年休会となりました。
昭和61年、新万寿郎、林善寿、浅井美津子等による川柳結成句会が持たれ、(会長)新万寿郎、(顧問)林善寿、(客員)伊藤竜子により「鈴鹿川柳会」が発足しました。同時に機関誌「川柳すずか」が隔月発行されました。
平成元年「第1回鈴鹿亀山合同句会」が荒神山にて開催され、以後、亀山川柳会と交互に主催し、毎年開催されてきました。
平成7年1月、会長を浅井美津子に交代、(顧問)伊藤竜子、会誌編集、同人。平成12年12月、伊藤竜子死去。
平成14年2月(2002年)会長を青砥たかこに交代。(会長補佐)吉崎柳歩、会誌編集、両名にて毎月発行、現在に至る。
380号の会員作品のページから、勝手にいいなと思った作品を以下に書かせていただきます。
わたくしのしんどさ私だけが知る
戴 けいこ
あらかたの記憶整え土用干し
村井一朗
鰹の叩き皿に分厚い夏が来る
山口龍一
蚊やり豚置いて玄関客を待つ
瓜生晴男
暑さと雨畑の草にない遠慮
加藤吉一
予想気温三十度なら予定組む
芦田敬子
すっぴんで勝負している野辺の花
圦山 繁
眼鏡にはとても頼りにされる耳
小川はつこ
初挑戦意外と旨いズッキーニ
水谷ちか子
愛犬から就寝中も守られる
竹口みか子
木曜にやってる医者はありがたい
西川幸子
太陽が出ているうちは抜けぬ草
草山節子
動物のいびき聞こえる休園日
小出順子
心って行方不明になるさだめ
柴田比呂志
老々介護今日も無事終え泣き笑い
竹内そのみ
名前出ず先輩連呼して会話
小林祥司
そうめんのおまけに食べる肉野菜
眞島ともえ
千円を越えるラーメン文庫本
小野教彦
底抜けにお茶が入っていく真夏
樋口りゑ
壊れてる覚悟しながら介護する
加藤峰子
右前の浴衣も混じる盆踊り
福村まこと
チャタレイ夫人の恋人を読む熱帯夜
田沢恒坊
こじゃんとをこじゃんと聞いて耳に慣れ
瀬田明子
極上の艶だイケメンの「国宝」
ささきのりこ
ご無沙汰の電話も面倒な暑さ
満月庵
扇風機昭和生まれがまだ動く
寺井一也
点滴のつぶ体内を駆け巡る
西山竹里
いい氷ならキーンとならぬかき氷
梶井良治
まずは湯を沸かす冷たい素麺も
澁谷さくら
たくさんのスギナが墓を覆う夏
玉木りょうこ
清音で藪を切り裂くホトトギス
磯浜基十
走れます一人になってしまったが
前田須美代
夏来れば「はだしのゲン」を開けてみる
神野優子
きょうは何処足どり重い医者通い
大川里子
臨海の工場夜景夕涼み
竹島 晃
今日採らねば明日は倍になるキュウリ
橋倉久美子
買わぬ日も米の値段を見る売り場
北田のりこ
崖っぷちの景色眺めながら生きる
河合恵美子
霊柩車のミニカー玩具にはしない
中川知子
日曜の夜の頭は月曜日
落合文彦
白桃は時に核心ついてくる
竹尾佳代子
「腹をくくる」を「お腹をくくる」とは言わぬ
毎熊伊佐男
わたくしも古いが原発も古い
𠮷崎柳歩
口笛は吹けないけれど困らない
青砥たかこ
なお、会員作品のページは「すずか路・自選」となっており、そこには「*お断わり 「すずか路では、例外はありますが中八下六は避けることを原則としています。やむを得ず添削することがありますのでご了承ください。」の但し書きがあります。他の川柳誌には見られない試みだと思いました。
目次には、「巻頭言・柳歩」、「すずか路」、会員による推薦句の「小休止」、「柳論自論(H26年10月再掲)柳歩」、「川柳つれづれ」戴 けいこ、「人と句『ネコにもわかる川柳を読んで』を読んで」たかこ「例会」、「例会風景」 たかこ、「没句転生」柳歩、「アラレの小部屋」橋倉久美子、「すずか路散歩」田辺与志魚さん、「誌上互選」柳歩、「インターネット句会」、「ポストイン」、「お便り拝受・あしあと」、「大会案内など」、「編集後記」とあり、メニュー盛りだくさんの冊子です。
たかこさんには、拙句集の「ネコにもわかる川柳」を取り上げていただき、感謝申し上げます。
「川柳すずか」を読みながら、川柳が五・七・五の定型であるということを、改めて思っています。
各人各様の五・七・五。それは、色とりどりにそして舌に懐かしさを覚える「サクマのドロップス」の味がしました。
せんりゅう、ごちそうさまでした。
ここで、少しだけ「鈴鹿川柳会」の会員のお一人だった西山竹里さんに触れさせてください。
西山竹里さんは、11月5日に急逝されたとのことです。まだ、62歳と言う若さでした。竹里さんには「川柳展望」の大会で何度かお会いしたことがありました。穏やかなお人柄で、この春にも「川柳展望」の大会でお会いしてお話したので、とてもショックを受けました。竹里さんの機知とユーモアに富んだ温かみのある川柳は味わい深いものがあり、好きな作家さんだっただけに、残念でしょうがありません。
竹里さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。



