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川柳で踊らせて
アンジェリカ会員&藤田めぐみ
2026年1月8日
#Act 36

リカちゃんと親指似てるユカリちゃん
須藤しんのすけ
実家じまいをしている最中
年季の入ったリカちゃんが、押入れの奥から出てきた。
妹のものだったのか、誰のものだったのかは
もう思い出せない。
リカちゃんを手に取って
何気なく目に留まったのは、その親指だった。
先まで神経が通っているみたいな
ダンスでポーズをとったような
そんな形をしている。
リカちゃんで遊んだこともなければ
もちろん、指、それも親指なんて
まじまじと見たこともない
でも、やけに蠱惑的なリカちゃんの親指。
その瞬間
なぜかユカリちゃんを思い出す。
あの頃、いい感じになっていたけれど
結局うまくいかなかった人。
触れた記憶があるわけでもない。
ただ
親指の形だけが、妙に似ていると思う
触れそうで、触れないまま離れていった
あの指。
リカちゃんの指は、見れば見るほど完璧で
こちらの都合なんて、まるで関係ない顔をしている。
そのリカちゃんの親指にそっと触れながら
ああ、あれは
なかなか粋な振られ方だったな、と
今さらに、思っている。
Text/produced by FUJITA Megumi
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