たくらみが零れないようチュッパチャプス
峯島妙
唇に赤いキャンディを転がしながら
彼女は目を細める。
チュッパチャプスの甘い香り
笑っているようで、そうでないようで
さっきから何も言わない。
「黙ってると、余計に気になるよ」
そう問いかけても
返事の代わりに棒を舌で押し直す仕草だけ。
こちらを横目で見ながら
彼女はちょっと笑う。
無邪気なようで、試しているんだ
キャンディに封じられた
零れそうな、たくらみ
それを艶やかに抱え込んでいる
その甘い笑顔で。
Text/produced by FUJITA Megumi