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川柳で踊らせて
アンジェリカ会員&藤田めぐみ
2025年7月2日
#Act 25

誘われて夜を解体しているの
西山奈津実
どんな言葉だったかはもう覚えていない。
だが、誘われたその声の香りは
あの夜からずっと私を捉えて離さない。
夜が、ただの夜ではなくなった瞬間。
照明の明るさも、時計の針の音も
少しずつ輪郭を失って。
私は今、「この夜」の中にいて
そっと触れるように
少しずつ、夜を――解体している。
丁寧に、静かに
音を立てずに
夜の中身を開けてゆく。
誘われて
触れて
問いかけて
今まで知らなかった音や匂い
ことばにならない
熱情めいたものが
ゆっくりと流れ出す夜
誘われて、そしてそれを許したわたしの
奥底の夜が
今もどかしいほどゆっくりと
ほどけていく。
Text/produced by FUJITA Megumi
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