#Act 11

シャツという衣類は、境界めいている。

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仕事と遊び

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女性はシャツの他に、ブラウスという緩めの境界衣類があるので

男性の方が、シャツでON/OFFを切り替えるという意識や思い入れが

女性よりは強いかもしれない。

シャツを着る、ということは、その前にシャツを脱いでいた。

そして、何かが終わり、シャツを着た。

シャツを着た男は、「何もなかったことにする」と決め

次の瞬間、もうそのような顔になる。

「何もなかったことに」というからには、何かが起きたのだ

それも、たぶん抜き差しならないことが。

シャツを脱ぐ必要がある、抜き差しならないこととは何か。

情事、そしてそれに続く別れの儀式

いやいやもっと面倒な、あんなことやこんなこと

それでも男は何事もなかったように

さらりとシャツをまとって、次の風を探しに行く。

Text／produced by FUJITA Megumi