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2025年2月1日
2025年2月

筆順を守らぬ文字が美しい
輪郭をぼかして中指の寒さ
マジシャンの胸に戻らぬ海がある
菊池京
大波に乗れない鳩はもういない
白から青へバス停が寄ってくる
じいちゃんのカタチふくらむしゃぼんだま
河野潤々
言の葉のそよぎのなかへ仲間入り
鈍色の季節モダンにする雷火
早起きのそばに十円玉の月
斉尾くにこ
信号を守るみたいに雪小雪
サビ猫の由緒正しきサビ具合
身の程は弁えているだし昆布
笹田かなえ
巣を追われどこで眠るの紙魚二匹
鈴懸の木に吊るされるわたしたち
中指の絵文字があって救われる
鈴木雀
透明な指紋が残るヘッドホン
華やかな解体ショーの舞台裏
ギトギトなSNSはこわれて消えた
須藤しんのすけ
回れ回れ暮らしのループ雪の蛇
去り人の甘さ酸っぱさ夜を咬め
今年も脱皮一月の超撥水
旅男
伸びて縮んで身に添うようになる棺
ねぇ坊や時間に続編はないのよ
女子力がたびたび顔を出す砂丘
西山奈津実
本棚のそばでするひかりのはなし
あなたたちをまもる炎を呼ぶ文法
祈りなおす さみしい場所にもどるため
温水ふみ
初雪にガラスの靴を捧げたい
天使からミトンの手袋を借りる
フォンダンショコラだって証明してあげる
飛和
微粒子にされるならなお生のまま
だまし舟ほどいて忘れちゃいました
再起動するわ 薔薇散らしながら
藤田めぐみ
天の川ゆらり漂う元カノと
牛乳瓶の蓋舐め古稀の回顧癖
木枯ら しへ正対 首の手術痕
間瀬田紋章
愚痴もため息もシャンパンのしゅわしゅわ
会いたいを濁らせる冬の雨雲
あやふやな約束折れ曲がる明日
峯島妙
豚汁の主役が誰か分からない
どこからがサラダでどこが真実で
マジパンは主演男優賞ですよ
伊藤良彦
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