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​紗幕越しの川柳

河野潤々

2025年1月22日

#Scene 15

紗幕越しの川柳フォト
こんな日はちあきなおみのつけまつげ

高橋かづき

 

「ちあきなおみのようなつけまつ毛を

つけたいと思う日ってどんな日?」

 

職場の女性から返ってきた答えは

「私、長いまつ毛きらーい」

「おもいっきりドレスアップしたい日じゃない!」

「ちあきなおみって誰?」

「(パーマが)落ちてきたので、そろそろエクステに

行こうと思ってたんですよ」

「つけまつ毛をつけるひとって、使い分けしますよね」

「一般人であんな…、いや、やめておきます」

「なぜそんなこと聞くんですか?」

 

「この作品が生理的に好きだから」

とは言わなかったものの

コミュニケーションの題材として

ふさわしかったのは間違いなかった。

 

さて、『こんな日』とはどんな日なのだろう。

『泣き腫らした日の翌日』など

人前に出たくないような日の感じがする。

なんとなくそう思っただけなのだけれど。

 

掲句を納めた句集から、ちょっぴりお気に入りを!

 

なに肉かわからぬままに嚙み続け

病院の窓から手だけ出してみる

赤ん坊なにも持たずに出奔す

さんがつのさんぽさんぱつさんりんしゃ

思い出は海と空とで縫い閉じる

 

 

(高橋かづきフォト句集『ふあんのふ ふしぎのふ』

 川柳杜人社 2017年11月)

 

川柳アンジェリカロゴ
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