せんりゅう、ご ちそうさま
笹田かなえ
2026年7月1日
川柳ねじまき 12

ねじまき12号(2026年5月3日発行)は、2025年8月31日にお亡くなりになった丸山進さんの追悼号です。
各自の作品と、「道」(多分)をテーマにした各自のエッセイのほかは、丸山進さんを偲ぶ特集になっています。
各自の作品から、いいなあと思った作品を一句ずつ書かせていただきました。
作品の下の「」は、「道」をテーマに書かれた各自のエッセイのタイトルです。
エッセイ、読むほどにぐいぐい引き付けられました。
川柳だけでなく、文章力にも優れているねじまきの皆さんです。
うわずみができないように振るからだ
なかはられいこ
「冒険者たちへ」
老いるとは夏大根の曳く辛味
米山明日歌
「金木犀の香る道」
朝顔が咲いたしぼんだ知らんがな
岡谷樹
「地図とナビと水尾」
お誘いにのって敷居をまたぐ海
青砥和子
「通学路は中山道」
空き瓶になって廊下に立たされる
竹尾佳代子
「縄文杉への道」
背に西日地下鉄5番出入口
中川喜代子
「尾瀬の木道」
梅の夜のノブにふれるかふ れないか
八上桐子
「路地」
赤信号ほら色のある夢みたい
富永顕二
「ストリート」
夜をいただく摺り切り一 杯分の黒
瀧村小奈生
「つながる」
まだ君の服から月の匂いした
スズキ皐月
「つまり尾道に至る」
過不足の 過かもしれない百合香る
おだかさなぎ
「曲がらなければ」
やわらかな桜」愛してくれ「桜
上野空
「道の話」
角を曲がるとモスクワになる夕陽
犬山高木
「道のようなもの」
商談が途切れ胡瓜の咀嚼音
猫田千恵子
「私に道を聞かないで」
ちょっと咲いただけなのにファンファーレ
西山奈津実
「楽になりました」
唐揚げの衣を脱がしおわるまで
安藤なみ
「シルクロード」
皿ひとつ「さ」は正確に百グラム
二村典子
「歩く道」
踏み込んで勝手に開ける冷蔵庫
三好光明
「想像の道は無限大」
会いたいのは会えない人で冬の晴
早川柚香
「道東」へ
残りどんだけ叩いてしぼる歯みがき粉
黒川利一
「レクイエム」
あいまいにしたりひょうたん島したり
妹尾凛
「道祖神カシマ様」
丸山進追悼特集では、「丸山進100句抄 なかはられいこ」抄出に圧倒されました。
中年のお知らせですと葉書くる 丸山進 に始まり、
約束がアランドロンと消えてゆく 丸山進 で締めくくられています。
100句のいずれにも丸山さんがいて、ニコニコしたり困ったような顔をしたりで、楽しく読んだことでした。
「私の好きな丸山さんの一句」のページでは、ねじまきのみなさんが好きな句とその理由を書かれていて、とても興味を引かれました。
ちなみに私の好きな丸山さんの好きな句は、
橋桁になぜ惚 れたのか分からない
丸山進
です。
「追悼文」のページには、荻原裕幸さん、青砥和子さん、三好光明さん、瀧村小奈生さん、中川喜代子さん達がそれぞれに丸山さんの思い出を語っておられます。
私も何度か丸山さんとお会いしたことがあったので、皆さんの語られているそれぞれの思い出に、「そうそう…」と相槌を打ちながら読んだのでした。
追善歌仙「生きていれば」の巻
捌 瀧村小奈生
もとても読みごたえがありました。
歌仙には、目には見えない大きな力があるのを改めて感じたのでした。
夏のおでんが一般的になったのはいつからだったでしょうか。
玉子、大根、こんにゃくは冬のおでんと同じですが、トマトやオクラ、ナスなどの夏野菜を使った夏のおでんもまた、出汁に合ってとても美味しいのです。
「ねじまき12号」はそ んな夏野菜をたっぷり使った、出汁の効いた夏おでんの味がしました。
せんりゅう、ごちそうさまでした。

