消えなければ誰が運んでもいいの
温水ふみ
最初に持っていたのは誰だったのだろう。
ふうわりとしたていで、内側に使命を隠している
輪郭がはっきりしない、雲のような"それ"を。
"それ"は、やがて手から手へ渡されていく。
ちょっとしたおやつをあげるように
青空の写真をシェアするように
手のひらのぬくもりを伝え合っているから
"それ"は消えることがない。
「消えなければ、だれが運んでもいいの」
そうやって、名前のない温かなものが
やがて遠い 彼の地まで届き
いつか世界が、ずっとやわらかく優しいものに
なっていきますように。
Text/produced by FUJITA Megumi