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​川柳で踊らせて

​アンジェリカ会員&藤田めぐみ

2025年5月2日

#Act 21

空豆の意気揚々と買われゆく


笹田かなえ

朝の市場に、青々とした空豆が並ぶ。

つややかな鞘に包まれた彼らは

まるで「いまが私たちの季節です」とでも言うように

堂々と陽を浴びている。


風は少し湿り気を帯び

空には夏の匂いが混じりはじめている。


買い物かごに入れられていく空豆たちは、どこか誇らしげだ。

「今日こそ、茹でたてで食べてもらえる」

「塩だけでいい。素材勝負ってやつだな」

──そんな声が聞こえてくるような“意気揚々”。


溌剌と、空を見上げている空豆は

季節を運ぶ小さな使者であり

初夏の生命力そのもの。


食卓へ向かうその姿に

立ちのぼる湯気と、芽吹く緑と

短くも鮮やかな命のリズムが

そっと添えられている。



Text/produced by FUJITA Megumi

川柳アンジェリカロゴ
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