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2026年10月

2026年10月1日


割り切れる仕事 割り切れないわたし

伊藤良彦


仕事とすれば納得するが本心はモヤっている。最近AIの開発者が警告して退社しましたが、大方の権力者や研究者はやりたいだろうと思う。多分こっそり続けるだろう。上からの絶対命令で殺傷も厭わない,軍人など心を殺せる仕事なんでしょうね。中国のロボットの行進を見て、どんどん走る戦争が見えました。益々自分が良ければを隠さなくなってきて世が荒れてきました。こんな世なれば死んでいくのも良いかもって思えるのは良いかも。


鑑賞:旅男



充電器濡れて引きこもりのホタル

菊池京


【じゃんけんで負けてホタルに生まれたの 池田澄子】が浮かびました。充電器は心でしょうか?バッテリーじゃ無く充電器がミソですね。チョッピリ他責思考感匂わせて、引きこもってこっそり勉強しているのかも。青白き点滅が窓にモヤってそう。雨雨雨、経験のない雨がこれからは普通になるそうですから点滅が増えそうです。私は雪籠りの時は工作(人形)しています。結構楽しみです。


鑑賞:旅男



夢メニュー今日は海月にしましょうか

斉尾くにこ


海月はクラゲとかいげつとあるようですが,風流なかいげつにすると、「あなた今夜は海の朧のお月様丼ですよ」「良いよ」

少しやるせなく軟体的クラゲな夢を見たい時

「貴方今夜はクラゲになってちょうだい」「駄目、今夜は無理」    

水っぽい世も時間は進み人は乾いていくのだった。ところで、クラゲの95~98%は水,クラゲを食べるって水を食べるってこと?乾く身体に水分補給か,今夜はクラゲにしましょう。


鑑賞:旅男



隔たりの梨の皮剥く長く剥く

笹田かなえ


田舎では梨を有の実と言っていた,テニスボール位の野生の梨が山にありました。隔たりは心情の距離、有りと言い難いので「無しの実、身」。その皮を剥く、血が滲むやのギリギリを、切れないよう長く永く。皮の側が美味しいのだ。微妙な関係が美味しいのだ。クククって泣いているか,笑っているか?密かに笑いたい。ところで,梨を綺麗につるんと剥く人がいる。私の場合どうしてもギザギザになるし途切れてしまう。あゝ、これが私と言うもんなんだ。


鑑賞:旅男



大雨に出会すたびに黙秘する

鈴木雀


大雨には、すべてを洗い流してしまう力があるように思える。けれど、この句の大雨は逆だ。流すどころか、忘れたかったもの、見ないようにしていたものを、また目の前へ連れてきてしまう。「出会す」という措辞にも、その避けられない巡り合わせが滲む。そのたびに私は「黙秘する」。何もなかったことにはできないからこそ、語らないという選択を繰り返す。大雨は、私とって忘却ではなく、記憶を運んでくる存在なのだ。


鑑賞:藤田めぐみ



ハチマキで両手両足だけ結ぶ

須藤しんのすけ


「だけ」に思わず笑ってしまった。両手も両足も結ばれ、ほとんど身動きは取れないはずなのに、それでも作者はさらりと「だけ」と言ってのける。しかも縄ではなく、ハチマキで。運動会では仲間を結ぶ一本の布が、この句では人を拘束する道具へと姿を変える。その途端、応援の記憶はどこかへ消え、現実は可笑しく傾き始める。一本のハチマキが、現実の結び目をほどいてしまった。


鑑賞:藤田めぐみ



走馬灯点け突起を腫らすボッチ

旅男


走馬灯に灯を入れると、静かに時間が巡り始める。「突起を腫らす」という言葉が、その静かな景色に熱を持ち込む。腫れは熱を持ち、痛みを伴う、生きている身体だけが見せる反応である。穏やかに巡る灯影と、熱を帯びた身体。その対照が、この句に不思議な緊張感を生み出している。「ボッチ」という少し力の抜けた響きが、この句の孤独にふっと笑みの差す余白を残す。


鑑賞:藤田めぐみ



手強いが咀嚼してみる満月

西山奈津実


短詩文芸に於いて月の句はどれほどあるのでしょう。けれど、咀嚼、或いは食べる、嚙み砕くといった表現の句に私は初めて出合ったと思う。 九月といえば中秋の名月(十五夜)ただ美しいだけでは無い心象の何かを見ている作者の眼差しのその先を共に追いかけている。 満月と咀嚼の取り合わせに謎めいた違和感や質感、舌触りの感触までもが伴って余韻する。


鑑賞:斉尾くにこ



鈴虫と詩集で埋める夜の底

飛和


「鈴虫と詩集」へ初秋の夕暮れの甘さを描いたけれど「夜の底」でぐっと深みが加わった。 都会と違い地方の夜の底は、ほぼ無音で暗く海底とイメージは重なる。その時間は自身と向き合う時でもあり、来し方が問いかけてくる時でもあるのではないか。そんなときに虫の音と詩集の一節が届くのだ。 哀感とも感傷とも違う新たな再生への静かなひとり時間を想う。


鑑賞:斉尾くにこ



裂ける海もう告白は噴き出して

藤田めぐみ


「裂ける海」の言葉のインパクト。告白にも甘いもの、苦いもの、苦しいもの、辛いもの色合いは多々。できれば秘めておきたいものなでは。私も含め多くの人は秘めて日々を過ごしているのだけれど、時として「噴き出して」しまう。それは何気ない一言に、向けられた視線に、無理解に……自身の海が裂けてしまうからだ。繊細さと激しさ、圧迫感と解放感、その両面を内包して魅了する。 ただし、日常は凪の海。


鑑賞:斉尾くにこ



マニュキュアとしぼんだ恋の速乾性

峯島妙


壊れたでも捨てたでもなく「しぼんだ恋」が微笑ましく大人の余裕も感じられ、好ましさが増す。確かにマニュキュアも涙も速乾性はポイントが高いし、人気も高い。切り替えは大切。 落胆的な句でありながら、爽快感とほんのりとしたユーモアもあって明るい気持ちにしてくれる。 ただ…私の中に鋭い検察官がいて困ることもある。


鑑賞:斉尾くにこ

川柳アンジェリカロゴ
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